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2009年度の研究テーマ

本研究室で,博士課程・修士課程および学部4年生が取り組んでいる主な研究テーマの紹介です.

円孔を有する一方向CFRPの機械的特性の評価
 D3任保勝,B4今村 剛
本研究は一方向CFRPの機械的特性に及ぼす円孔の影響を調査する.これまで,構造物の接合部などにCFRPを使用する場合,必要に応じて材料に孔を開けて使用するケースが多い.これによって材料の機械的特性が大幅低下することが懸念されている.そこで,本研究は繊維を切断せずに接合部などへ適用する方法を提案する.まず,ボルト等の貫通孔があると仮定し,繊維が円孔縁を湾曲した試験片を作製し,それらの機械的特性を調査する.また,別途,従来の方法によってドリル孔を開ける試験片も用意し,両者の機械的特性を比較検討する.
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ナノコンポジットの機械的特性におけるナノクレイ添加量の影響
 M2Azmi Nordin,B4得能 圭祐
 本研究ではナノクレイ・エポキシ複合材料の機械特性を調査した.従来の研究で用いられている混入比率を参考にして,ナノクレイの重量比率を1phr (樹脂:ナノクレイ=100:1),3phrおよび5phrとし,ナノクレイ・エポキシ複合材料試験片を作成した.それぞれの試験片はインストロン型オートグラフを用いて引張試験を行った.さらに,Electron probe micro-analyzer,EPMA(図1)を用いてナノクレイ粒子の分散を観察した.
従来の引張試験結果により,ナノクレイの添加量によって樹脂板試験片の剛性や破断強度は増減することが分かった.また,試験片の成型方法によって剛性や破断強度の変化が明らかになった.
そこで,EPMAを用いて,試験片の破断面や断面積を観察した.それぞれのナノクレイの重量比率によって,ナノクレイ粒子の分布状況を比較した.その結果を図2に示す.1phr,3phrナノクレイ添加をそれぞれNE1及びNE3と記す.
図2のようにNE1よりNE3のナノクレイ粒子のかたまりが多いということが分かった.また,NE1及びNE3では固まりのサイズがそれぞれ25mmから35mmであった.
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平織CFRP積層版におけるクリンプ相対ずれが微視的損傷に与える影響
 M2安達 良和, B4関 真利
 現在、平織CFRPは建築用補強材から船舶および自動車の部品まで幅広い分野で適用されており、その強度特性の研究の必要性が増している。平織CFRPは積層板として用いられ、その製造過程で各層間にずれが生じることがあり、このずれが積層板の機械的特性に影響を与えることが懸念されている。そこで本研究では、この層間のずれを‘クリンプ相対ずれ’として微視的損傷の観点から、引張強度に与える影響を明らかにすることを目的とする。 イメージ

Si-Ti-C-O繊維強化多孔質Al2O3セラミックスの創製とその強度評価
 M2長廣 佳, B4喜多村 竜太
 セラミックス緻密体は耐熱性,耐食性,耐摩耗性に優れているが,脆性材料であるいう欠点を有しており,信頼性の確保が難しく応用範囲が広がっていないのが現状である.そして,このセラミックスを多孔質化させた多孔質セラミックスは断熱性の向上及び軽量化などが期待できる反面,曲げ強度が著しく低下してしまう. そこで, Si-Ti-C-O繊維を強化繊維として用いることで,強化繊維による架橋効果によりき裂の進展を防ぎ,破壊経路を複雑にすることで高強度・高靭性な多孔質Al2O3セラミックス複合材料の創製を試みる. イメージ

天然繊維の断面積変動を考慮したグリーンコンポジットの強度評価
 M2寺崎佑次郎,B4水江太郎
 グリーンコンポジットの強化材として使われる天然繊維は,繊維長手方向の断面積変動および複雑な断面形状(図1)を有する.このため,繊維およびグリーンコンポジット強度予測は困難である.本研究では,レーザー寸法測定器(図2)を駆使した繊維断面積および強度の評価方法を提案し,これをもとにグリーンコンポジットの強度予測を行う.また実際にグリーンコンポジットの作製,強度評価を行い,提案した評価方法の妥当性を確認する.
繊維にレーザー光を当てることにより,投影幅(見た目の太さ)を測定することができる(図2).測定器は繊維を中心に回転可能であり,多方向からの投影幅が測定できる.天然繊維の投影幅は測定方向,位置によって異なることがわかる(図3).これを元におおよその断面積が算出できる.

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竹粉/PP複合材料の機械的性質に及ぼすひずみ速度の影響
M2胥朋,B4玉ノ井 翔太
 本研究は,竹繊維を強化材としたグリーンコンポジットの作製とその強度評価を行ったものである. バイオマス資源の有効利用の立場から,竹材の優れた強度・剛性を熱可塑性樹脂の強化に適用することを目的とした射出成形法により微小竹繊維である竹粉とポリプロピレン(PP)を組み合わせた竹粉/PP複合材料を成形した,竹粉の添加率を変化させた竹粉/PP複合材料について引張速度1,10,100,1000mm/minにて高速引張試験を行い,それらのひずみ速度、温度依存性を検討する イメージ

SiC/SiC複合材料の疲労特性に及ぼす不均一マトリックスの影響
 M1小溝陽平,B4浅井聡
 炭化ケイ素を炭化ケイ素系繊維で強化したSiC/SiC複合材料は,耐熱合金の約1.5倍の比強度を有し,優れた耐熱性を有する材料として注目されている.本研究で使用するSiC/SiC複合材料は,比較的安価にマトリックスが形成できるPIP法(Polymer Impregnation and Pyrolysis Method)が用いられているが,この方法で母材形成を行うとマトリックスが不均一になることがわかっている.この材料の疲労強度特性については不明な点が多いため,本研究ではその疲労特性を明らかにすることを目的としている.特に不均一なマトリックスと疲労特性の関係に着目した. イメージ

ラミー麻/PPグリーンコンポジットの機械的特性に及ぼす繰返し負荷効果
 M1松重健一,B4秋重美紀
 従来使用されてきた、ガラス繊維や炭素繊維と熱硬化性樹脂を複合化させたGFRPやCFRPは機械的特性に優れるものの、廃棄が困難であるという問題点があります。そこで天然繊維や生分解性樹脂、熱可塑性樹脂を用いたグリーンコンポジットと呼ばれるものが注目されています。
これより、本研究では天然繊維であるラミー麻繊維と、熱可塑性樹脂であるポリプロピレンを用いた複合材料を作製し、これに引張負荷処理を施すことにより強度・剛性の改善を試みています。さらに、押出成型中の巻取り行程におけるラミー麻単繊維の配向分布を考慮して成型品の機械的特性の異方性、および走査型電子顕微鏡を用いた界面接着性の検討をしています。
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Migration構造を考慮した撚糸強化複合材料の弾性特性
 M1黒瀬 司,B4吉田 一幾
 近年,バイオマスの有効利用が求められており,全て天然素材からなる複合材料,いわゆるグリーンコンポジットの研究・技術開発が注目されている.天然繊維を強化材とするグリーンコンポジットはすでに実用化されているものの,さらなる高剛性化・高強度化を図るために,短繊維を撚った連続糸状の撚糸を強化材としたグリーンコンポジットの開発が有用とされている.そこで,本研究では天然繊維糸の構造に注目し,撚りによる撚糸の縮み比およびそのばらつきの調査を行っている.今後自動撚り機で作製した撚糸および検撚機を使って作製した撚糸を用いて複合材料を作製し,その機械的特性の調査を予定している.
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押出成形プロセスを用いた高強度天然繊維複合糸の開発
M1キムヒョンボム
 石油成分やガラス繊維を置き換え、産業分野や繊維製品に再活用と分解可能な天然繊維を使用する傾向が高まっている。いわゆるグリーンコンポジットの開発である。例えば、車の計器盤や扉パネル、衣服、建物の内部品など様々な分野で開発が進んできた。従って、本研究では天然繊維を含めているワイヤー状グリンコンポジットを押出機を利用して作成し、作り出した糸状に延伸処理を施すことで、高強度天然繊維複合糸を開発するものである。 これにより,この高強度天然繊維複合糸を自動車インテリア、職布、板材、電気製品の構造体、建材などへの応用ができる材料を製造することを考えている。


   

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